注文住宅は、予算の範囲内で間取りや設備などを自由に選べるのが魅力です。しかし、満足のいく家づくりを実現するために、どのくらいの予算が必要か気になる人は多いものです。
注文住宅の建築プランを立てる前に、この記事で予算の考え方や建築費用の内訳を確認しておきましょう。予算別の建築シミュレーションを確認すれば、注文住宅の建築プランが立てやすくなるのでぜひ参考にしてみてください。
注文住宅の予算の内訳
注文住宅の予算を立てる前に、建築費用の内訳や相場について確認しておきましょう。
注文住宅の費用は、主に4つの項目に分かれています。
・土地の購入費用
・本体工事費
・付帯工事の費用
・諸費用
下記にて詳しく説明します。
土地購入費
香川県や岡山県で150㎡の土地を購入する場合、土地代だけで450~500万円前後、市街地など立地条件の優れた場所だと1,000万円近い費用がかかります(※1)。また、土地代とは別に、登記費用や税金・不動産会社への仲介手数料なども必要です。下記の表を参考に土地を購入するときにかかる費用の内訳と目安を確認しておきましょう。
【土地購入費用の主な内訳と目安(令和4年5月1日時点)】
主な内訳 | 費用の目安 |
登記時の登録免許税 | 課税標準額の1.5%(※2) |
不動産取得税 | 固定資産税評価額の3%(※3) |
固定資産税 | 固定資産税評価額の1.4%(※4) |
都市計画税 | 固定資産税評価額の0.3%(※5) |
司法書士報酬 | 5~10万円が相場 |
仲介手数料 | 土地代の3%+6万円が上限(消費税別) |
※2 国税庁タックスアンサー「No.7191 登録免許税の税額表」
本体工事費
建物自体の建築費用は、土地代を抜いた予算全体の70%前後を占めるといわれています。例えば、注文住宅の予算を3,000万円に設定した場合は、本体工事費は2,100万円前後です。本体工事費には、設計料や以下の工事費用が含まれています。
【本体工事費に含まれる工事費用】
工事項目 | 説明 |
仮設工事 | 足場や仮設電気・水道・トイレの設置工事 |
基礎工事 | 建物全体を支える土台の工事 |
木工事 | 建物の骨組みを作る工事 |
内装・外装工事 | 屋根・外壁や床・内壁などの工事 |
設備工事 | ドア・窓や水回りの工事 |
付帯工事費
付帯工事費は建物以外の工事にかかる費用で、土地代を抜いた予算全体の15~20%前後が目安です。注文住宅の予算が3,000万円の場合だと、付帯工事費は450~600万円前後が見込まれます。駐車場や庭を広くしたり太陽光発電システムを導入したりする場合は、さらに費用がかかる場合があります。また、購入した土地に建物が残っている場合は取り壊し費用も必要です。付帯工事費の主な内訳も紹介します。
【付帯工事費の主な内訳】
工事項目 | 説明 |
外構工事 | 駐車場や庭・塀といった建物外部に施工する工事 |
引き込み工事 | 上下水道・電気・ガスを敷地内に引き込む工事 |
設備工事 | 照明・エアコンなどの設置工事 |
地盤改良工事 | 地盤の強化やパイルの打ち込みなどの工事 |
諸費用
諸費用は土地の購入費用や建物内外の工事費用とは別にかかる費用で、建築費の5~8%前後が目安です。土地と同様に、完成した建物についても不動産登記の費用や不動産取得税などの税金もかかります。住宅ローンを組む場合には、融資契約の時点で融資事務手数料・保証料を支払う必要があります。引越し代や新居に設置する家具・家電の購入費用も、住宅建築の予算に含めておくとよいでしょう。
【土地購入費用の主な内訳と目安(令和4年5月1日時点)】
主な内訳 | 費用の目安 |
登記時の登録免許税 | 課税標準額の1.5%(※1) |
不動産取得税 | 固定資産税評価額の3%(※2) |
固定資産税 | 固定資産税評価額の1.4%(※3) |
都市計画税 | 固定資産税評価額の0.3%(※4) |
司法書士報酬 | 5~10万円が相場 |
住宅ローンの融資事務手数料・保証料 | 金融機関によって異なる |
引越し代や家具・家電の購入費用 | 家族の人数や住宅の仕様などで異なる |
※1 国税庁タックスアンサー「No.7191 登録免許税の税額表」
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注文住宅の諸費用の内訳と相場まとめ|シミュレーションもあわせて紹介
注文住宅の予算の考え方のポイント3つ
注文住宅を建てる際は、自己資金に加えて住宅ローンを利用するのが一般的です。住宅ローンの返済額を把握した上で、注文住宅の予算を決めましょう。注文住宅の予算を決める時は、以下の3つのポイントを押さえておくことが大切です。
・自己資金の金額
・住宅ローンの返済額
・諸費用の目安
自己資金+住宅ローンで借りられる金額
自己資金(頭金)がなくても契約できる住宅ローンが増えているものの、十分な予算を確保するために自己資金を準備してから注文住宅を新築する人も多いようです。フラット35で融資を受けて注文住宅を建てた人の場合だと、平均で約620万円の自己資金を準備しています(※)。
自己資金が多ければ住宅ローンの借入額を抑えられますが、予期せぬライフイベントの変化に対応できない可能性もあります。子どもの進学や家族の介護・自動車の買い換えなど、将来的な出費を考慮した上で自己資金の額を決めるのが得策でしょう。なお、住宅ローンで融資を受けられる額は年収の6~7倍が目安といわれています。
住宅ローンで借りられるお金の上限と返済額を把握しておく
住宅ローンを借りて注文住宅を建てる場合は、月々の返済額を踏まえて予算を決めることが大切です。
例えばフラット35で融資を受ける場合、年間の最大返済額は年収の30~35%です。上限いっぱいの融資を受けると、融資を受けた時点では無理なく返済できたとしても、ライフスタイルや社会情勢の変化などで返済が苦しくなることも考えられます。住宅ローンの延滞が続くとせっかく建てた住宅を手放すことになってしまいます。末永く住宅に住み続けるためにも、年間の返済額は年収の20~25%程度に設定するのが無難です。
また、住宅ローンの審査を受ける段階でクレジットカードの分割払いなど他の債務がある場合に、希望する金額の融資を受けられないことも考えられます。予算を変更せずに希望どおりの家づくりを実現するためには、できる限り債務を減らした状態で住宅ローンを申し込むようにしましょう。
諸費用は意外とかかる
前述しましたが、注文住宅を建てる時には不動産登記の費用や火災保険料・地震保険料といった諸費用がかさみがちです。諸費用の目安は建築費の5~8%が目安で、3,000万円の予算で新築する場合だと諸費用だけで150~240万円ほどかかります。新居へ引っ越すと同時に家具・家電を新調する場合は、さらに費用がかかることも少なくありません。主な諸費用と金額の目安を紹介するので、予算を立てる際は参考にしてください。
【主な諸費用と金額の目安】
項目 | 金額の目安 |
住宅ローンの融資事務手数料 | 融資額の2.2%(りそな銀行の場合) |
登記時の登録免許税 | 土地…課税標準額の1.5%
建物…課税標準額の2.0% |
不動産取得税 | 固定資産税評価額の3% |
固定資産税 | 固定資産税評価額の1.4% |
都市計画税 | 固定資産税評価額の0.3% |
司法書士報酬 | 5~6万円が目安 |
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予算別!注文住宅の建築シミュレーション
ここからは、予算別にどのような家を建てられるのかをシミュレーションしてみましょう。注文住宅は間取りはもちろん、内装・外装や設備の仕様などの選択肢が幅広いのが特徴です。建築プランを立てる前に十分に情報を収集して、納得がいく家づくりを実現しましょう。
予算1000万円
外観の特徴 | ・正方形または長方形といったシンプルな形状
・1階と2階の床面積が同じ ・ベランダや出窓を設置しない住宅がほとんど ・屋根は三角屋根(切妻屋根)または片流れ屋根 |
内装の特徴 | ・気密性・断熱性は必要最小限
・床材は合板またはクッションフロア ・壁はビニールクロス張り ・間取りのバリエーションが限られる |
設備の特徴 | ・水回りなどの設備はベーシックなグレード
・太陽光発電システムなど高価な設備は設置されない ・収納などのカスタマイズには対応していない |
予算1500万円
外観の特徴 | ・正方形または長方形といったシンプルな形状
・ベランダや出窓を設置する住宅もある ・1階と2階の床面積が同じ ・切妻屋根・片流れ屋根に加えて陸屋根も選択できる |
内装の特徴 | ・気密性・断熱性を高められる
・床材・壁紙の選択肢が増える ・吹き抜けを設ける住宅もある |
設備の特徴 | ・設備のグレードにメリハリを付けられる
・屋根に太陽光パネルを設置する住宅もみられる ・作り付け収納なども選べる |
予算2000万円
外観の特徴 | ・箱形以外の外観にするなど、こだわりを反映できる
・ベランダ・出窓や大きな窓を設置する住宅が多くなる ・外壁にタイル・レンガなどを採用できる |
内装の特徴 | ・間取りの自由度が高い
・ロフトやサービスルームを設置できる ・床材・壁紙の素材の選択肢が広がる |
設備の特徴 | ・設備の一部を豪華にするなど全体的にグレードを上げられる
・一坪バスなど賃貸住宅にはない設備を導入できる ・二世帯住宅も検討できる |
予算3000万円
外観の特徴 | ・土地に合わせて建物の形状を設計できる
・外壁の素材の選択肢が広がる ・3階建て住宅も選択できる |
内装の特徴 | ・防音性能を高められる
・間取りの自由度が高い ・天然素材やケミカルフリー素材を選べる |
設備の特徴 | ・水回りなどに最新設備を導入できる
・耐震・制震構造を取り入れられる ・建物内部だけでなく、庭・ガレージや門扉にもこだわりを持たせられる |
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注文住宅を建てる際は、建物本体の工事費だけでなく土地の購入費や付帯工事費・諸費用も考慮に入れて予算を立てることが大切です。住宅ローンを組む場合は、年間の返済額を年収の20~25%前後に設定すると無理なく返済できます。予算1,000万円から注文住宅を建築できますが、予算や希望に応じて納得いく家づくりを検討しましょう。
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