家事動線が良いと家事の時短につながり、暮らしやすさに大きく影響します。暮らしやすさが向上すると家族と過ごせる時間が増えて、住んでからの満足度も高くなるといえます。
本記事では、家事動線の良い間取りや意識したいポイント、家事動線を良くするために取り入れたい間取りアイデア、施工事例を紹介します。
この記事を読めば、ご自身のライフスタイルに合う家事動線の良い間取りのイメージがつかめるはずです。
Contents
暮らしやすさを左右する「家事動線」
「生活動線」といった言葉を聞いたことがありますか?これは、日常生活で人が移動するときに自然に通る経路を線で表したものです。生活動線が短ければ短いほど、家の中の移動が少なくなり、暮らしやすい間取りになります。生活動線をさらに細かく分けると、以下の4種類に分類されます。
・家事動線
・衛生動線
・来客動線
・帰宅(通勤)動線
なかでも、暮らしやすさに影響するのが「家事動線」です。家事は毎日行うものであり、時間も労力もかかるため、家事導線を意識した間取りにすると家事の時短につながります。家事が時短になれば以前よりも家事をすることのストレスが軽減されて、日々の暮らしがより快適なものになるでしょう。
家事動線を意識した間取り決めのポイント
家事動線を意識した間取りにする際に、押さえたい3つのポイントを紹介します。
家事動線に合わせた収納スペースを設置する
収納スペースは「数」だけでなく、「どこに配置するか」が暮らしやすさに大きく影響します。
例えば、食品ストックをキッチンから離れている場所に配置してしまうと、行き来する手間がかかります。重たいお米を持って、家中を移動するのも一苦労です。食品ストックができる収納スペースは、キッチンからすぐに取り出せる場所に配置するのが基本といえます。
他にも家事動線の1つである「洗濯動線」も重要です。洗濯物も畳んで収納スペースにしまう際に「この動線に家族のクローゼットがあったら便利だな」とイメージしながら、収納スペースを確保しましょう。
移動距離はできるだけ短く
家の中を行ったり来たりを減らすために「家事動線は短く、コンパクトに」を意識しましょう。
例えば洗面脱衣所内に洗濯機の設置スペース以外に、洗濯物を干したり畳んだりできるスペースを確保すると、洗濯に関する一連の流れが洗面脱衣所だけで完結できます。1階で洗った洗濯物をわざわざ2階のベランダに運んで干す…といった作業が不要になります。
また、キッチンで出た生ゴミ等を屋外のゴミ箱で保管したい場合、キッチンに勝手口を作るだけで外に出る移動距離が短くなります。雨が降っていても気にせずに、屋外のゴミ箱に運べます。
このように移動距離を短くする間取りを意識するだけで、1つ1つの家事効率がアップします。
回遊動線を取り入れる
回遊動線とは行き止まりがなく、家の中をぐるぐる回ってスムーズに移動できる動線のことです。
例えばリビングからキッチン、キッチンから洗面脱衣所・お風呂、洗面脱衣所・お風呂から廊下、廊下からリビング…といったように2方向から出入りできる間取りです。回遊動線を取り入れると移動が近道になり、効率的な家事動線になります。
そういったメリットから、回遊導線を意識した間取りは近年の注文住宅によく取り入れられるようになってきました。
▶関連記事:回遊動線のある間取りは後悔しやすい?メリット・デメリット、失敗しないコツを紹介
間取り決めで意識したい3つの家事動線
家事と一口で言っても、料理や洗濯、掃除など、さまざまな種類があります。間取り決めの際は、特に3つの家事動線について意識することでより暮らしやすさが向上します。
洗濯動線
洗濯動線は「洗う・干す・畳む・しまう」の一連の行動を指します。それぞれの動作を行う場所がバラバラで移動距離が離れていると、洗濯動線の効率が悪くなり、行ったり来たりする動作が多くなります。洗濯動線を効率良くしたいときは、次の3つを意識すると良いでしょう。
・洗濯機と洗濯物を干す位置を近くに配置する
・キッチンと洗面所の距離を近くする
・家族の洋服を収納する場所をできるだけ一箇所にまとめる
この3つを意識するだけで、洗濯の作業が今までよりも楽に感じるようになります。
調理動線
調理動線は、買い物・食品の収納・料理・片付け・ゴミ出しなどの一連の行動です。調理導線がコンパクトにまとまると、食事前後の流れがスムーズになります。
またキッチンのタイプによっても、この調理動線が良くなります。最近特に人気なのが、キッチン回りに回遊動線が生まれる「アイランドキッチン」です。壁に接地面がなく、ぐるりと一周できるアイランドキッチンはどこからでも出入りできるので、複数人でも調理しやすく、キッチン内で人の渋滞が起きにくいメリットがあります。
ただしデメリットとして、キッチンの収納スペースが他のタイプに比べて確保しにくい、設置する際にある程度の床面積が必要などが挙げられます。狭小住宅のように床面積に限りがあると、アイランドキッチンの導入が難しいケースもあるため、住宅会社にその点をしっかり相談してから検討しましょう。
掃除動線
掃除動線とは、各部屋を掃除する際の動きです。掃除機をかけるときに段差が多いとスムーズに掃除できません。できるだけ段差のない家にすれば、掃除機を持ち上げることなくスムーズに掃除できます。
また新築住宅を建てるにあたり、最近流行りのロボット掃除機の導入を検討しているご家庭も多いでしょう。ロボット掃除機があれば、留守中でも家がきれいになったり家事の時短になったりと大助かりです。
ロボット掃除機を導入する際は、どこを「ロボット掃除機の基地」にするかも重要なポイントになります。階段下収納や洗面台の下など、デッドスペースを活用するのがおすすめです。その点もしっかり家の設計時に検討しておきましょう。
より効率的な家事動線になる、おすすめ間取りアイデア5選
より効率的な家事動線を叶えられる、おすすめの間取りアイデア5選を紹介します。日々の家事をさらに楽にしたい方は参考にしてください。
パントリー
キッチン隣にパントリーを配置すると、食品ストックや調理器具の保管に便利です。買い物したあと、玄関からパントリーに行ける間取りにすると帰宅動線が良くなり、買った物を片付ける作業が楽になります。
逆も然りで、買い物に行く前にストック品をチェックしやすくなります。キッチンやリビングに生活感を出したくない方は、冷蔵庫やゴミ箱をパントリーにまとめるのもアイデアの1つです。
▶関連記事:パントリー(キッチンクローク)を作る際の間取りのアイデア3つ
土間収納
土間は屋外と室内の中間に位置する場所のことで、土間収納は玄関に設置された収納スペースを差します。「シューズクローク」や「シューズインクローゼット」とも呼ばれています。
土間収納があると靴はもちろん、アウトドアグッズや子どもの遊び道具などをすっきりと片付けられるのが魅力です。土間なら床が土で汚れても水洗いできるため、ベビーカーや雨具などの収納場所にも適しています。
また玄関の土間収納をウォークスルータイプにして、キッチンとつなげる間取りもおすすめです。土間収納がパントリーにもなるため、買い物したあとの動線がコンパクトにまとまります。
ランドリールーム
洗濯や洗濯物干し、アイロンなど洗濯に関連する作業を行うのが、ランドリールームです。
ランドリールームとキッチンをつなげると、料理をしながら洗濯に関する一連の作業が可能になり、家事時間がグンと短縮できます。
ただし場合によっては、「洗濯物は太陽に当たる場所で干したい」などのこだわりがあるかもしれません。その場合は、ランドリールームと干す場所をできるだけ近くに設置できないか、検討してみましょう。
サンルーム
サンルームとは、日光を取り入れられるように天井や壁をガラス張りにして作った部屋のこと。ランドリールームを設置したいものの間取りに余裕がない…といったケースでは、時間や天候に左右されずに洗濯物が干せるサンルームを取り入れるのも、アイデアの1つです。
サンルームは汎用性が高く、洗濯物を干す以外にもDIYの作業場や植物を育てるなど、さまざまな楽しみ方ができます。ペットが日向ぼっこして、お昼寝する場所としても最適です。
ファミリークローゼット
ファミリークローゼットとは、家族の洋服をまとめて収納できる大きめのクローゼットを差します。ファミリークローゼットをウォークインクタイプにすると、洗濯して畳んだ洋服を各居室のクローゼットにしまう…という作業が必要ありません。
より効率化したい場合は、出入り口が2カ所ある「ウォークスルークローゼット」にすると回遊動線が生まれます。ただしウォークスルークローゼットは、収納スペースと移動スペースの確保が必要なため、ウォークインクローゼットに比べて収納量が減ってしまうこともあります。
施工事例!家事動線の良い間取りの注文住宅を紹介
ここでは、香川・岡山で家づくりを行う日進堂が手掛けた、家事動線の良い間取りの注文住宅施工事例を紹介します。家事動線を意識した注文住宅に住みたい方は、参考にしてください。
キッチン背面にスライドドア付きのパントリーがある住まい
来客動線と生活動線をきっちりと分けて、プライベートな部分を守れるようにした間取りです。洗面脱衣所とウォークスルークロゼット、LDKは回遊できるようになっています。
キッチン背面にはスライドドア付きの収納スペースを設け、多くの物を収納しながらも、扉を閉めると生活感が感じられません。4.5帖の広々とした洗面脱衣所はランドリールームになっており、洗濯機や可動棚を設置して洗濯動線の一連の流れが完結できるよう工夫されています。
キッチン背面にスライドドア付きのパントリーがある住まいの施工事例を見る>
洗濯家事がスムーズにできる家事室のある住まい
畳コーナーや家事室、書斎など、家族みんなが心地よく過ごせるアイデアが詰まった間取りです。家事室では室内干しやアイロンがけといったさまざまな家事ができ、書斎では読書や趣味などが楽しめます。
さらに畳コーナーは、子どもの遊び場や家族団欒の場として活用できます。リビング横には4.5帖の中2階を作り、家族の声を聞きつつも勉強やリモートワークに集中できる住まいになりました。
洗濯家事がスムーズにできる家事室のある住まいの施工事例を見る>
4帖もの広々としたランドリールームのある住まい
洗面脱衣所の横に4帖のランドリールームを作り、さらに洗面脱衣所と主寝室の間の通路はウォークインクローゼットになっており、スペースを最大限に生かした事例です。平屋で1階部分しかないため、洗濯物を外に干す際も階段を上り下りする必要がありません。
また、学校や仕事に行く前の準備を効率よく行えるよう工夫した間取りです。シューズクローゼットやパントリーなど収納スペースも豊富に確保しました。
4帖もの広々としたランドリールームのある住まいの施工事例を見る>
家事動線に関するよくある質問
家事動線の良い間取りのメリットは何ですか?
家事動線の良い間取りのメリットは以下の通りです。
1. 効率的な家事:家事動線が良いと、家事をする際の移動距離が短くなり、無駄な動きを減らすことができます。これにより、家事の効率が上がり、時間を節約することができます。
2. ストレス軽減:家事動線が良いと、家事をする際のストレスが軽減されます。例えば、キッチンと洗濯機が近いと、料理をしながら洗濯をすることが容易になります。
3. 家族のコミュニケーション:家事動線が良いと、家族のコミュニケーションも円滑になります。例えば、リビングとキッチンが一体化していると、料理をしながら家族と会話をすることができます。
家事動線の良い間取りは、家事の効率化、ストレス軽減、家の清潔さ維持、家族のコミュニケーション向上など、様々なメリットがあります。
家事楽動線とは何ですか?
家事楽動線とは、家事を効率よく行うために家の設計段階で考慮される動線のことを指します。
具体的には、キッチン、ダイニング、リビング、洗面所、浴室、トイレなど、家事を行う場所間の移動距離を最小限にし、無駄な動きを減らすことを目指します。
家事動線の良い間取りとは何ですか?
家事動線の良い間取りとは、家事を効率的に行うための動きや流れを最小限に抑えることができる間取りのことを指します。
具体的には以下のような要素が考慮されます。
1. キッチン、ダイニング、リビングが一直線上または近接して配置されていること。これにより、料理の準備から食事、片付けまでの動線が短縮され、効率的に家事を行うことができます。
2. 玄関と浴室が近いこと。これにより、汚れた服のままリビングを通ることを防げます。
3. 玄関とキッチン、またはリビングが近いこと。これにより、買い物から帰った際の荷物の運搬が楽になります。
家事動線の幅はどのくらいがいいですか?
家事動線の幅については、一般的には60cm以上が推奨されています。
これは、人が通行するための最低限のスペースとされています。
ただし、これはあくまで最低限の数値であり、より快適に動き回るためには、90cm以上の幅を確保することが望ましいとされています。
生活動線と家事動線の違いは何ですか?
生活動線と家事動線は、住宅設計における重要な概念で、それぞれ異なる意味を持ちます。
生活動線は、住宅内での日常生活の動きを指します。
例えば、起床後に洗面所へ行き、その後キッチンで朝食を作り、リビングで食事をするという一連の動きが生活動線になります。
一方、家事動線は、家事を行うための動きを指します。例えば、洗濯物を洗濯機に入れて洗い、その後干す場所へ移動するという動きが家事動線になります。
つまり、生活動線は日常生活全般の動きを、家事動線は家事を行う動きをそれぞれ指す概念です。
家事動線の良い注文住宅づくりなら日進堂にお任せください
憧れの注文住宅を建てるなら、理想を詰め込んで快適な暮らしも実現できる家に住みたいですよね。快適な暮らしを実現するには、家事動線を意識することが大切です。家事動線を意識すると、毎日の家事を効率化でき、余った時間を趣味や家族との時間に使えるようになります。
日進堂は自由設計の家づくりが特徴で、お一人お一人の好みや暮らしに合わせて最適な間取りを提案させていただきます。
香川・岡山で家事動線を意識して家事を効率化できる注文住宅を建てたい方は、お気軽にご相談ください。なお、カタログは無料で請求いただけますのでぜひ、お取り寄せください。
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