スキップフロアとは、床に段差をつけることで区画を区切る建築方法のことをいいます。スキップフロアはデザイン性や、他のいくつかのメリットを理由に人気が高まっていますが、デメリットもあるため、自分にとってプラスになるかどうかをよく考慮してから取り入れたいものです。
この記事ではスキップフロアのメリットとデメリットについて詳しくご紹介します。スキップフロアを取り入れる際の注意点についても解説しますので、マイホーム設計の際の参考にしてください。
スキップフロアとは?
スキップフロアとは、1つの階層に複数の高さのフロアが設けられた間取りのことです。床面に段差をつけ、同じ階のなかでも高さの高いスペースと、そうでないスペースとに分けて空間の広がりを楽しみます。
別名を「ステップフロア」とも呼ばれるほか、段差が大きい場合には1階と2階の間ならば「中2階」とすることもあります。スキップフロアの段差は、階段1段分の比較的小さなものから3段分ほどの少し高くなっているもの、階層と階層のちょうど真ん中に床面をつくる段差の大きなものまでさまざまです。
スキップフロアは部屋や区画ごとに床面の高さが異なるため、天井の高さも変わってきます。区画と区画との間には壁がなく、必要以上の目隠しも設置しないのが特徴です。
スキップフロアのメリット
スキップフロアには、以下のようなメリットがあります。
- 空間を広く使える
- 日当たり、風通しが良い
- 収納スペースを増やせる
- 傾斜地の土地と相性が良い
それぞれについて解説します。
空間を広く使える
スキップフロアには、別のフロアとの間に壁や扉などの仕切りがないため、空間を広く使えます。室内に高低差をつけることで、視線を遮るものを設置しなくても空間を仕切ることができるのです。
例えばLDKから子ども部屋が見えるなど、空間と空間との間につながりができるため、家族同士のコミュニケーションがとりやすいのもメリットのひとつといえます。開放的な空間をつくるスキップフロアならではの魅力でしょう。
日当たり・風通しが良い
スキップフロアでは空間に仕切りがなく、遮るものがないため、家のなかの日当たりや風通しを良く保つことができます。自然と室内が換気されるつくりで、衛生的にも良い効果をもたらす可能性があるでしょう。
風通しがよく常に換気がおこなわれる空間では、湿気がこもりにくく、カビが生えにくい傾向があります。反面、日当たりの悪い部屋は冷えやすく、風通しの悪い部屋では湿度が高くなり体調不良が起こる可能性も指摘されており、日当たりや風通しが良いことにはメリットがあると考えられるのです。
収納スペースを増やせる
スキップフロアでは、段差の高さの分を床下収納として利用することでスペースを増やすことができます。
床下収納は便利ですが、高さがあると収納としてみなされず、延べ床面積に算入される可能性があるため注意が必要です。自治体にもよりますが高さ1.4メートル以下の収納庫であれば延べ床面積には含まれないため、固定資産税が有利になる可能性があります。スキップフロアは、延べ床面積を増やさないまま収納を増やす裏技ともいえるでしょう。
傾斜地の土地と相性が良い
傾斜地の土地はスキップフロアとの相性が良いため、デザインに取り入れるとおしゃれで機能的な家になる可能性が高くなります。
段差や斜面のある土地を傾斜地と言います。傾斜地で住みやすい家をつくるには、地形を上手に利用することがポイントです。元々ある傾斜や段差にあわせてスキップフロアを作れば、土地造成の手間が軽減されます。一方、構造計算の点では複雑になるため、おしゃれな分、費用が上乗せされることもあるでしょう。
しかし狭い傾斜地でも、タテの空間を有効活用することで広さを感じる家を建てられるため、おすすめです。
スキップフロアのデメリット
スキップフロアのデメリットには、以下のようなものが考えられます。
- バリアフリーに対応できない
- 空調の効率が良くない
- 掃除の手間がかかる
- 費用がかかる
それぞれについて解説します。
バリアフリーに対応できない
スキップフロアはそもそも床面に段差をつくる方法であるため、バリアフリーには向かないデザインです。
新築で一戸建てを建てる場合は、終の棲家として将来にわたり住み続けるつもりの方も多いでしょう。そのなかで、自分や家族が年齢を重ねたときにどのような住まい方をするのかを考慮する必要があります。
例えば家族が同居し、若い世代や子どもが住む予定があるかどうか、将来にわたってスキップフロアならではの使い方があるかどうかといったこともネックです。
空調の効率が良くない
スキップフロアの大きなメリットである空間が広く使えるという点は、空調がなかなか効きにくいというデメリットが伴います。壁などの間仕切りがないため、スキップフロアではエアコンなどの効率が悪くなりがちです。
特定の空間だけをピンポイントで暖めるのは難しくなるでしょう。また電気代など、冷房費、燃料費が高くなる可能性もあります。シーリングファンなどを活用し、部屋の空気を循環させる仕組みをあらかじめ作っておくことがおすすめです。
掃除の手間がかかる
スキップフロアではルンバなどの自動掃除機を使うことは難しく、掃除の手間がかかるようになります。空間が段差で仕切られているため、自動掃除機は利用できません。
また、部屋ごとに掃除機を移動する必要性が出てくる可能性も高いです。部屋のつくりによっては、コンセントがスキップフロアまで届かない可能性もあるでしょう。こうした事態を防ぐため、コンセントは建築時、各部屋に必ず設けることが大切です。
費用がかかる
スキップフロアを作る際は、そのための設計施工技術が必要になります。構造計算が複雑になるため、建築費、工事費用が高くなる可能性があるでしょう。
スキップフロアの費用が高くなる原因は、技術力だけではありません。単純に、使う資材が多くなるため必要な経費が増えます。さらに材料選びにも工夫が必要です。いずれをとっても費用がかかるため、全体の費用もふくらみがちになるのがデメリットです。
スキップフロアを取り入れる際の注意点
スキップフロアを取り入れたいと思ったときは、施工技術の高いハウスメーカーや工務店を選びましょう。
スキップフロアは空間をおしゃれに見せる方法として知られるようになりましたが、一方でデメリットもあるため、将来にわたってスキップフロアが必要とされるか、利便性を確保したスキップフロアが作れるかといったことは、ハウスメーカーや工務店の経験や知識に左右されます。
したがってスキップフロアの事例を良く探し、スキップフロアの施工実績が豊富な工務店・ハウスメーカーを探して依頼することが大切です。実績豊富なメーカーであれば、住んだあとでイメージが違った、というようなことも避けられる可能性が高いでしょう。
まとめ
床の高さを変えながら空間を仕切るスキップフロアは、限られた空間を広く見せることのできる間取りです。スキップフロアには他にも、日当たりや風通しが良くなる、収納スペースとして使えるなどのメリットがあり、ぜひ検討したいデザインといえるでしょう。
スキップフロアを設置するなら、経験豊富な施工業者を選ぶ必要があります。香川県近隣の家なら、長年の実績と信頼を積み上げた日進堂での施工をぜひご検討ください。
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スキップフロアのメリットに関するよくある質問
スキップフロアとロフトの違いは何ですか?
スキップフロアとロフトは、どちらも空間を有効活用するための設計手法ですが、その構造や用途に違いがあります。スキップフロアは、ワンフロアに複数の段差を設けることで、視覚的な広がりや変化を生み出す設計です。これにより、家全体が一体感を持ちながらも、各スペースが独立した役割を持つことができます。一方、ロフトは天井の高い空間を利用して、上部に設けられる小さな部屋や収納スペースのことを指します。ロフトは主に寝室や収納として使用されることが多く、限られた空間を有効に活用するための手段です。スキップフロアは空間の連続性を重視し、ロフトは垂直方向の空間利用を重視する点が大きな違いです。
スキップフロアの失敗例は?
スキップフロアは、空間を有効に活用し、視覚的な広がりを持たせるために人気のある設計手法ですが、いくつかの失敗例も存在します。例えば、段差が多すぎて日常生活での移動が不便になったり、高齢者や小さな子供がいる家庭では安全性の問題が生じることがあります。また、スキップフロアの設計が不十分だと、空間の使い勝手が悪くなり、収納スペースが不足することもあります。さらに、断熱や防音の問題が発生しやすく、施工費用が予想以上に高くなることもあるため、慎重な計画が必要です。
平屋にスキップフロアを取り入れるメリットは?
平屋にスキップフロアを取り入れることで、以下のようなメリットがあります。まず、空間の有効活用が挙げられます。スキップフロアを設けることで、平屋でも立体的な空間を作り出し、限られた敷地内でのスペースを最大限に活用できます。また、視覚的な広がりを感じさせる効果もあります。異なる高さのフロアがあることで、部屋全体が広く感じられ、デザイン性も向上します。さらに、家族それぞれのプライベートスペースを確保しつつ、コミュニケーションを取りやすい環境を作ることができます。例えば、リビングと書斎をスキップフロアで分けることで、適度な距離感を保ちながらも家族の気配を感じられる設計が可能です。
スキップフロアの固定資産税はどうなる?
スキップフロアの固定資産税は、一般的な住宅と同様に評価されます。固定資産税は建物の床面積や構造、使用材料などを基に評価されるため、スキップフロアがあるからといって特別な税率が適用されるわけではありません。ただし、スキップフロアの設計や施工により、建物全体の評価額が変わる可能性があります。具体的な評価方法や税額については、自治体の税務課に確認することをおすすめします。
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